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コンペイトウ

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【ぼくは強くなるんだ】

ぼくの家には、オス猫のコロスケがいる。
ぼくが小学校の入学式の帰りに、公園に捨てられていたのを拾ってきた。
三毛猫で目が大きくてふわふわの毛。
お母さんがニコニコして嬉しそうに言ったんだ。
「三毛猫でオスなんて珍しいのよ。しっぽが短くておちんちんが鈴のように可愛い!名前はコロスケがいいわ!」
ぼくよりお母さんが家族の仲間になったコロスケに夢中になった。

猫は、人間で言うと1年で20歳。
その後は1年で3歳ずつ年をとるからぼくよりずっと年上になっちゃったんだ。
公園で拾ってきてから2年半。体は大きくなったけどちょっとやせっぽちで弱虫だ。
近所へ出かけて行っては、他の猫たちにかみつかれたりして傷を付けて帰ってくる。
この間なんて背中の毛がむしられて血が出ていてた。
「コロスケどうした!またやられたのか!」
ぼくがびっくりして聞くと、
「ニャ-ニャ-」
小さな声でぼくの顔を見て鳴くんだ。
ぼくはコロスケを膝の上に乗せて薬を付けながら
「強くなれよな・・」っていつも言っている。
でも、ぼくもコロスケと一緒でよわっちいんだよな・・・。
ぼくは、小学校に入学する時お父さんに
「柔道教室へ通ってみないか?」と言われて柔道教室へ通い始めたんだけど、3年生になっても1度も試合に勝ったことがないんだ。
クラスの中でも一番背は小さくて、細くて、いつも一番前に並ぶ。
柔道教室へ行っても2年生より小さくて、試合では2年生に負けた。
それも女子にだ!
ぼくは柔道には向いていない。柔道教室へ行くのが嫌になった。
でも、先生はいつも言うんだ。
「負けても負けても練習を続けろ!かならず勝てる日が来る!」
ぼくは練習をしている時は鼻血が出たって、悔しくて涙が出たって練習している。
こんなに頑張っているのに、昨日だって同じクラスのかずくんに負けたんだ。
ぼくみたいに身体が小さくても、強くなれる日が来るだろうか・・。
ぼくはため息をついて部屋の窓から外を見た。
すると庭の大きなモクレンの木に向かってコロスケが飛び付こうとしている。
「コロスケ・・」
真剣な顔のコロスケと目があった。
黙って見ていると、前足を揃えてお尻をあげて、じっと木を見て・・飛んだ!
コロスケは必死で木にしがみついていたけどズルズルと落ちてきた。
今度はもう少し近づいて前足を揃えてお尻をあげて・・1、2、3!
さっきよりは高い所へ飛び付けた。
そして、太い枝の所へよじ登って行って、コロスケは得意な顔でぼくを見た。
得意げに回りを眺めて、今度は下りようとしている。
「コロスケ!大丈夫か!」
どうしよう・・と困った顔でぼくを見るんだ。
ぼくは考えてしまった。
猫が木に登っているの見たことあるし、下りれるはずだよ。
こんなだから他の猫達にいじめられてもしょうがないなあって思っていると、ズルズルと下りてきた。
ぼくはなんだか情けなくなった。

最近、隣のメス猫のランは毎日遊びに来る。
今日もコロスケとランはチョウチョを追いかけて楽しそうに遊んでいる。
ランは顔が小さくて目の色はグレ-でクリクリしている。
首にはピンクのリボンに鈴を付けた白い小さい猫だ。
隣のおじさんは、昔キャンディ-ズのランちゃんが好きだったとかで「ラン」と名前を付けたんだ。
ぼくはどんな人かわからないけど、ランは猫の中ではなかなかの美人だと思う。
ああ・・コロスケとランは学校にも柔道教室へも行かないで遊んでいられていいなぁと思っていた。
すると、どこから来たのか目付きの悪い大きな黒猫が庭に入ってきた。
黒猫の体はちょっと太めで大きい。
毛は短くて鼻の頭が白いのがなんだかおかしいけど偉そうな顔をしている。
「ニャ-オン・・」長いしっぽを上げてクネクネさせながら何とも気持ち悪い声で鳴いた。
まるで「ランちゃん、ぼくと遊ぼうよ」なんて言っているみたいだ。
コロスケとランは飛び上がったようにびっくりして黒猫を見ると、「ニャッ!」とランが鳴いてコロスケの後ろに隠れた。
ぼくはハラハラしながらコロスケを見ると、小さなしっぽの先がピクピクと動いている。
「コロスケ!男だろ!ランを守れよ!」
コロスケはじっとぼくを見て「よし!」とうなずいた。
短いしっぽを立て、毛は逆立ち、背中を少し曲げて突進する準備をした。
目はつり上がり歯をむき出し「フゥ-ッ!」と言って突進していった。
黒猫はびっくりしてものすごいスピ-ドで逃げて行く。
遠くで「ギャ-ッ!」「ギャッ!ギャ-!」争う声が聞こえた。
ランは心配そうにコロスケが突進して行った後を見ている。
大丈夫かな・・ぼくはドキドキしながらコロスケの帰りを待った。
すると、コロスケはゆうゆうとした顔ですぐに帰ってきた。
猫のケンカって早いんだなって思った。
コロスケは耳から血が出ていた。
大丈夫かなって思っていると、コロスケはランの所へいって顔をなめている。
ランは嬉しそうだ。
コロスケはちらっとぼくを見て、
「ぼくは負けないぞ!強くなるんだ!」と言った。
コロスケは毎日出かけては傷を付けて帰ってくる日が続いていた。
家では木登りの練習もしていて、飛びついて枝に伝わって行けるようになっても下りる時は苦手みたいだ。かなり上のほうから飛び下りている。

ぼくは学校の帰り道、家の近くの草だらけの空き地で、「フ-ッ!ギャッ!ギャ-!」と猫の声を聞いた。
すごいなぁって思いながら見に行くと、なんと!コロスケが黒い大きな猫と向いあっていた。
黒猫はちょっと太めだけど強そうだ。
「あ!」あの白い鼻はこの間家に来た黒猫だ。
コロスケは黒猫をじっと見て声も出さずにスクッと立っている。
この黒猫にいつもコロスケがやられているんだな!
ぼくは思わず石を拾って黒猫めがけて「コラッ!」と言って力いっぱい投げたけど届かなかった。
でも、ぼくの声でビックリした黒猫は「ピクッ!」ってしたんだ。
その時、コロスケは毛が逆立ち、歯をむき出して「シャ-ッ!」と声を出してものすごい勢いで黒猫めざして突進して行った。
大きな体の黒猫もすごい勢いでで逃げて行った。
ぼくは、コロスケの姿が大きく見えて勢いのすごさにびっくりして「ボ-」っとして空き地を見ていた。
家に帰ると、コロスケは芝生の上で足をなめていた。
「コロスケ!」と呼ぶと、覚めた顔で「チラッ」とぼくを見てまた足をなめている。
ぼくは余計なことをしちゃったかなぁ・・・ちょっと心配になった。

今日は柔道教室の日だ。
いつも行きたくないなぁって思うんだけど、ぼくは柔道着を持って教室へ向かいながらコロスケのことを思っていた。
いつかぼくだって試合に勝てる日が来る。
「ぼくだって・・強くなる!強くなるんだ!」
【ぼくは強くなるんだ】_f0222201_0112881.jpg

by konpeitou-kyoko | 2009-12-14 17:00 |



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