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コンペイトウ

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【勇気を出した日】

新学期が始まって、仲良しのよう子ちゃんとキクちゃんは、一緒のクラスになってとってもうれしい二人です。

キクちゃんは太っていて運動が苦手。。男子達が面白がってからかいます。
「おい!よこづな!」
「ドスコイ!ドスコイ!」
なんて言って、歩き方を真似をすると、キクちゃんは何も言わないで下を向いて黙っています。
今日もドッジボ-ルの時に、男子がキクちゃんを狙って思いっきり当てて、キクちゃんの顔に当たっちゃったのです。
顔をおさえてしゃがみこんだキクちゃんをよう子ちゃんは抱きかかえるようにして枠の外へ連れて行ってあげました。
そんな時、よう子ちゃんは男子達を睨みつける事しかできません。

キクちゃんと一緒に帰る時「キクちゃん、大丈夫?」って言うと、キクちゃんは涙をいっぱいためて「うん・・」それっきり黙ってしまいます。
私があんなことされたらやっぱり悲しくなっちゃうなって思って、キクちゃんと並んで帰りました。

ようこちゃんはキクちゃんと別れると「キクちゃん、かばってあげられなくてごめんね」って思いながら、キクちゃんが男子達にからかわれないようにするにはどうしたらいいんだろうと考えていたのです。

今日は日曜日。
よう子ちゃんはおばあちゃんに会いに行く日です。
家の近くのバス停からバスで15分くらいの所のマンションに一人で住んでいます。
おばあちゃんはお母さんのお母さんで72歳。
今日は一人でバスに乗って行くことになりました。
バスはマンション前のバス停に止まります。
おばあちゃんの所は2階なので階段を走って上りました。

「おばあちゃん!こんにちは!」
「まあ!よく来たわね!待っていたのよ」
おばあちゃんは紅茶とよう子ちゃんの好きなオレンジケ-キを用意してくれました。
「新学期が始まって、仲良しのお友達も一緒のクラスになれて毎日楽しいでしょう?」
「うん。キクちゃんと一緒のクラスになってうれしいんだけど・・」
おばあちゃんは途中で黙ってしまったよう子ちゃんの顔を見ました。
「どうしたの?」
「キクちゃんね・・」
「いつもニコニコしているキクちゃんね。どうかしたの?」
「男子達がキクちゃんをからかったりしていじめるの。昨日もドジボ-ルの時、キクちゃんを狙って投げて、キクちゃんの顔にあたっちゃったの。私、男子達を睨みつけることしかできなくて」
「そうだったの・・」
すると、おばあちゃんがよう子ちゃんの手をにぎって、話し始めました。
「そう・・おばあちゃんが小学校5年生の時、クラスメ-トに5人兄弟の長男でね。朝も夕方も新聞配達をして家計を助けている子がいたのよ」
「朝も夕方も新聞配達?偉いね!」
「そうなのよ。クラスの男子達はゴリ!ゴリ!って一緒に遊んでいたわ。でもね、席替えをした時・・昔の机は2人用になっていたのよ。男子と女子と並んで座ったの。ゴリくんと同じ席になった女子が「ゴリは汚いからいやだ!」って睨みつけてね」
「男子達は何も言わなかったの?」
「クラスの皆は一人もゴリくんを助けなかったの。おばあちゃんも何にも言えなくてね。でもゴリくんはニコニコして黙っていたのよ。ゴリくんはどんなに嫌な思いをしただろうね」
ようこちゃんは、おばあちゃんも何も言えなかったときがあったんだって思っています。
おばあちゃんはちょっと真剣な顔で、
「ようこちゃんには間違っている事に向かって行く勇気を持ってほしいな。おばあちゃんは今でもあの時の事を思い出すのよね」
「私、勇気出せるかなぁ・・」
「よう子ちゃんなら大丈夫!」
おばあちゃんは元気な声で言いました。

よう子ちゃんは帰りのバスの中でおばあちゃんとの話を思い出して、今度、キクちゃんがいじめられていたら私が助けてあげよう!と心に決めたのでした。

月曜日、よう子ちゃんは元気にランドセルを背負って学校へ向かいました。
学校の門の所でキクちゃんと一緒になってよう子ちゃんはいつもより大きな声で、
「キクちゃん!おはよう!」
「ようこちゃん!おはよう!」
キクちゃんはニコニコしながらよう子ちゃんと一緒に3年2組の教室へ行きました。

チャイムが鳴って、皆席に着いて先生を待っています。
よう子ちゃんの席はキクちゃんの斜め後ろの窓側。
キクちゃんの様子がよく見えます。
先生が来て出席をとって1日の予定の話をして職員室へ戻りました。

すると、キクちゃんの後ろの席の池田君がキクちゃんの背中にマジックで「よこづな」と書いた紙を貼っているのが見えたのです。
キクちゃんは気がつかないで、前を向いたまま教科書やノ-トを出しています。
よう子ちゃんはドキドキして、どうしようと思った時おばあちゃんの声が聞こえてきて、
「よう子ちゃんなら大丈夫!」
おばあちゃんに背中を「ポン!」と押されたように、よう子ちゃんは席をすっと立ち、怖い顔をして池田君の所へ向かいました。

「池田君!なにこれ!あなたの背中に付けてあげる!」さっと取って
「ポン!」と池田君の背中に貼ったのです。
「なにするんだよ!」
「キクちゃんにした事を池田君にしてあげたのよ!」
池田君は背中から紙を取ると丸めてしまいました。
でも、よう子ちゃんは黙っていません。
「キクちゃんは私達クラスの仲間でしょ!からかったり意地悪するのは良くないわ!」
「うるせえな!なんだよ急に!」
「ずっと思っていたの!」
「おれだけじゃない!」
「今は池田君がしたことでしょ!」
よう子ちゃんはこんなに強い言い方をしたのは初めてだからドキドキして来ました。
キクちゃんは席を立ってどうしたらいいのかわからなくて、黙ってよう子ちゃんと手をつなぎました。

クラスの皆は黙って2人の事を見ていましたが、女子達が集まって来て、鈴木さんが
「私もよう子ちゃんと同じよ!池田君も他の男子達もよくないわ!皆クラスの仲間よ!」
よう子ちゃんは女子達がわかってくれたことがうれしくて、胸がいっぱいになって涙があふれそうです。
それでもよう子ちゃんはとても強い声で池田君に向かって、
「キクちゃんに謝って!」
池田君はよう子ちゃんを睨みつけています。
キクちゃんは何も言えずによう子ちゃんと手をしっかりつないだまま、池田君の顔を見ています。
すると、池田君はキクちゃんを見て言ったのです。
「わかったよ・・ごめんな」
キクちゃんに謝りました。
キクちゃんはちょっと緊張しながら、
「もう、からかわないでね・・」
キクちゃんはよう子ちゃんを見てニッコリして席に座りました。
ちょうど、1時間目の始まるチャイムが鳴って皆も席に着きました。

給食が終わって、お昼休みは3年1組とドッジボ-ルをすることになりました。
クラス全員参加で始まりました。
よう子ちゃんはボ-ルを「キャッチ!」1組の男子めがけて「エイ!」よう子ちゃんは自分でもびっくりするくらいの勢いでボ-ルが飛んでいきました。
「ドス!」キャッチされて、今度は1組の男子がキクちゃんを狙って投げてきました。
池田君が素早くキクちゃんの前に来て「キヤッチ!」1組の男子を狙って投げました。
「やった!」1組の男子の手からボ-ルが跳ね返り転がって行きました。

ボ-ルに当てられた人は枠の外に出て、外から攻撃します。
相手チ-ムの枠の中の人を当てることができると中に入れるのです。
皆、クラスごとに燃えています。

今度は、1組の女子がキャッチして投げてきました。
「あ!キクちゃん!」
よう子ちゃんはスロ-モ-ションのようにキクちゃんの所へ飛んで行くボ-ルを見送りました。
「ドス!」キクちゃんがしっかりキャッチ!
「わあ!キクちゃんやったね!」
よう子ちゃんはとってもうれしくてガッツポ-ズをしながら池田君を見ると池田君も小さくガッツポ-ズをしました。
キクちゃんは初めてボ-ルをキャッチしたので目を丸くしてびっくりしています。

チャイムが鳴ってお昼休みが終わり、皆笑顔で教室に戻ってきました。
キクちゃんはオデコに汗をかいてほっぺが真っ赤になっています。
教室の窓からさわやかな風が通りぬけていきました。


【勇気を出した日】_f0222201_043772.jpg

by konpeitou-kyoko | 2009-06-06 23:57 |



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